一人で林道に入って、出られなくなったことがあります。

大げさに聞こえるかもしれないけど、あのときは本気で焦りました。

道が続いているうちは進めばいい。でも、道が崩れていて進めなくなった。引き返そうとしたら、どっちから来たか分からなくなってきた。スマホの電波は入らない。日が暮れてきた。

そのとき、「インカムさえあれば妻に電話できたのに」と思ったんです。


インカムで電話はできない——という誤解から始まった

まずここを正直に書きます。

インカムは基本的に「バイク同士のインターカム通信」が主用途です。一人で使う場合は、スマホとBluetooth接続して、音楽を聴いたり、電話を受けたりする機能になります。

つまり、スマホが電話を受けられる状態なら、インカムを通じて通話できる。林道の奥でスマホが圏外なら、インカムがあっても電話は無理です。

「じゃあ買う意味ないんじゃ」と思うかもしれないんですが、実際に使い始めると全然そんなことはなかった。

林道に入る前に、電波が届く場所でインカムを通じて妻に「今から林道に入る、2時間で戻る予定」と連絡できる。出発前の連絡が習慣になって、安心感が全然違います。

それと、音楽を聴きながら走れる快適さが思ったより大きかった。


B+COM SB6Xを選んだ理由

インカムはいくつか候補を調べました。

  • SENAの50S:アメリカのメーカー。多人数接続が強い。
  • DAYTONAのTX-pro:国内メーカー。シンプルで使いやすい。
  • B+COM SB6X:サインハウスの国産。音質と接続安定性が評判。

価格は全部4万円前後から6万円前後で、正直どれも高い。

B+COMにした決め手は2つです。

1. 国産メーカーのサポートがある

林道でトラブルがあったとき、日本語で対応してもらえるのは安心です。サインハウスはアフターサポートがしっかりしているという評判を複数の場所で見ました。

2. 音質が良い

音楽を聴きながら走ることが多いので、音質は重要。SB6Xはスピーカーの音質評価が高い。ヘルメット内で聞く音楽が良くないと、長距離ツーリングで疲れが増す気がして。


実際に1年以上使ってみて——良かったところ

接続安定性

スマホとのBluetooth接続が途切れたことが、1年以上使ってほぼない。信号待ちでスマホをポケットに入れたままでも安定している。

他の人のレビューで「接続が不安定」という声を見ることがありますが、自分の環境では問題なし。ヘルメットとスマホの距離が近いせいかもしれません。

操作性

グローブをしながらでも操作できるボタン配置。林道で止まらなくても音量調整や曲送りができる。これは小さいようで走行中に助かります。

バッテリー

フル充電から12〜13時間くらい持ちます。日帰り釣行なら余裕すぎる。泊まりがけでも充電器を持っていけば問題なし。

防水

雨の日でも問題なく使えています。山の天気は変わりやすいので、防水は必須スペックです。


正直に書く——イマイチなところも

価格

5万円は高い。これが最大のデメリット。ヘルメットと合わせると10万円以上の出費になる。「インカムにそんな金かけるの」って言われると返す言葉がない。

ひとり使いには過剰スペック

SB6Xはインターカム接続で最大6人同時接続できます。自分はいつも一人ツーリングなので、この機能は1年間使っていない。もし本当に一人しか使わないなら、もう少し安い機種でも足りる気がします。

慣れるまでに時間がかかった

操作ボタンが複数あって、最初の1ヶ月は「これで曲送り」「これで音量」を間違えていた。慣れれば問題ないですが、マニュアルを最初にちゃんと読むべきでした。


比較した他機種について

SENA 50S

アメリカのメーカーで、接続人数が多い。バイク仲間が多い人はSENAを選んでいる印象。音質はB+COMよりわずかに下という評価をよく見ます。スマホアプリでの設定管理がしやすいのが特徴。

DAYTONA TX-pro

国産・シンプル・比較的安い。「インカムに5万円は出せない」という人の選択肢として候補に挙がりやすい。機能を絞っている分、操作が分かりやすいというメリットがあります。


林道釣行でインカムが「保険」になる理由

インカムを買ってから、林道への入り方が変わりました。

以前は「電波が入らなくなったら連絡できないな」という不安があって、深い林道には躊躇があった。今は電波が入る場所で妻に「今から入る、何時に出る」と伝えてから入るので、気持ちが楽です。

時間になっても戻らなければ妻が動いてくれる。

インカム自体が林道で助けてくれるわけじゃない。でも、コミュニケーションの習慣を変えてくれた。それが結果的に安全につながっている気がします。

迷子になったあの日に戻れるなら、出発前に必ず連絡してから林道に入れと言ってやりたいです。


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