バイクに釣り竿を積む方法って、意外と情報がないんですよね。
車中泊の道具なら検索すれば山ほど出てくるのに、「バイクに竿をどう積むか」だけはやけに情報が薄い。釣り人はだいたい車で行くからなんでしょうね。セローで林道の奥まで入って渓流をやろうとすると、急に「みんなどうしてるんだ?」と途方に暮れる。
「とりあえずゴムひもでフレームに縛り付けるか」と思ってやったら、走行中の振動でロッドが折れました。3,000円くらいのロッドだったからまだよかったけど、これがメインタックルだったら泣いていた。
正確に言うと、折れた瞬間は気づかなかったんです。林道を1時間ほど走って、目的の渓に着いてからゴムをほどいたら、ロッドの真ん中あたりがポキッと斜めに割れていた。ティップが当たって折れたんじゃなくて、振動でしなり続けたブランクが金属疲労みたいにいったらしい。走っている間ずっと、後ろで愛車のロッドがビヨンビヨン暴れていたんだなと思うと、なんともいえない気持ちになりました。せっかく早起きして来たのに、その日は竿を出せずに帰ったんです。
だから最初に言っておくと、バイクに竿を積むときの一番の敵は「落下」でも「ぶつける」でもなくて、「振動」です。これがわかるまでに、おれはずいぶん遠回りをしました。
バイクにロッドを積む方法は大きく3種類
何度か失敗してから整理すると、バイクにロッドを積む方法は大きく3つです。どれが正解というよりは、自分の乗り方と釣り場までの道のりで選ぶものだと今は思っています。
① ロッドホルダーをバイクに直接装着する
バイクのフレームやキャリアにロッドホルダーを取り付けて、竿を差し込むタイプ。固定力は強いが、バイクの形状や竿のサイズによって合わないことがある。見た目はいかにも「釣り仕様」でカッコいいんですよ。差し込むだけで積み下ろしがラクなのも魅力。ただ、ホルダーの口径が太いと細い渓流竿はガタつくし、逆に細いと太いグリップが入らない。汎用品を買って「あれ、合わない」となるのはだいたいこのパターンです。あと、竿がむき出しになるので、林道の枝が当たったり、雨をもろにかぶったりする。舗装路のツーリングなら気持ちいいけど、ヤブこぎするような道だと気を遣います。
② ロッドケースに入れて荷物として積む
ハードまたはソフトのロッドケースに竿を収納して、荷台にくくりつけるか、シートバッグに入れる方法。竿の保護という意味では一番確実。竿がケースの中で完全に守られているという安心感は、ほかのどの方法にもないものです。転んでも、枝に当たっても、まず竿には届かない。デメリットは積み下ろしの一手間と、ケースぶんの嵩張り。でもおれは「竿が無事に着く」ことの価値のほうがずっと大きいと感じています。
③ リュックに入れて背負う
コンパクトな竿や分割ロッドであれば、ロッドケースごとリュックに入れて背負う方法。荷物が多くなりがちな釣りキャンプツーリングでは難しいことも多い。日帰りで身軽に渓流だけ、という日なら背負いも悪くない。ただ、背中に硬いものを背負って何時間も林道を走ると、これが地味に疲れるんです。転倒したときに背中の竿が体に当たる怖さもある。おれは結局、よほど荷物が少ない日以外は背負わなくなりました。
実際に試した結果
おれはこの3つを順番に試しました。失敗の順番で並べると、ちょうど自分の理解が深まっていった順番でもあります。
最初のゴム固定は論外でした(前述の通りロッドが折れた)。あれは「固定」じゃなくて「とりあえず動かないように見せていただけ」だったんですよね。止まっているときは動かないけど、走り出して路面のギャップを拾うたびにゴムが伸びて、竿が少しずつズレていく。バイクの振動は車とはまるで別物で、エンジンの細かい震えと路面の大きな揺れが両方くるんです。これを甘く見ていた。
ロッドホルダー直付けは、セローの場合フレーム形状に合うものを選ぶのが難しかった。なんとか取り付けたけど、オフロード走行で振動が大きいと緩んでくる。林道メインの人には微妙かもしれません。具体的に言うと、舗装路を走っているぶんには問題ないんです。でも林道に入って、岩やわだちでバイクが跳ねるようになると、固定ネジが少しずつ緩む。途中で止まって増し締めしながら走るはめになって、「これじゃ釣りに集中できないな」と。竿の出し入れがワンタッチでラクなのは本当にいいんですけど、おれの行く道とは相性が悪かった。
ロッドケース入れてくくりつけるが今のメインです。
ハードケースは頑丈だけど嵩張る。ソフトケースはコンパクトで使いやすいが、転倒したときが怖い。林道を走るのでソフトとハードの中間みたいなセミハードケースを今は使っています。ここに落ち着くまでにも回り道があって、最初は安いソフトケースを使っていたんです。軽くて畳めて、収納はラク。でも一度ヤブの中で転んだとき、ソフトケースの上に体重がかかって、中の竿がヒヤッとするくらいしなった。折れはしなかったけど、あれ以来「柔らかいだけのケースは林道では信用できない」と思うようになりました。かといってフルハードは重いし、シートバッグに入りきらない。両方の不満を引き算していった先に、セミハードという答えが残った感じです。
パックロッドという選択肢
バイク釣行で一番悩まなくなったのは、パックロッド(振り出し式)を使い始めてからです。
振り出し式のコンパクトロッドは、収納すると60〜80cmくらいになります。この長さならシートバッグの中に入るし、リュックにも入る。ロッドホルダー不要です。積み方そのものに悩む必要がなくなった、というのが一番大きい。シートバッグの内ポケットにスッと収まって、フタを閉じれば完了。林道でどれだけ跳ねても、バッグの中で守られているから竿のことを忘れていられる。
これがどれだけラクか、ワンピースロッドで苦労したあとだとよくわかります。以前は出発前にロッドの固定で15分くらいかかって、しかも走りながら「ちゃんと止まってるかな」と気にしていた。今はバッグに放り込むだけ。釣り場に着いたら振り出すだけで、ガイドを通す手間もない。糸を通したまま畳める振り出し式なら、現場でラインを通す作業すらいらないこともあります。
性能的には高級なワンピースロッドに敵いませんが、バイク釣行の利便性は圧倒的に上がります。林道の先にある誰も来ない渓流で竿を出すには、「持って行ける」ことが最優先。どんなに高感度で、どんなにキャストが決まる名竿でも、バイクに積めなくて家に置いてきたら釣果はゼロです。現場で一番いい竿は「そこにある竿」なんですよね。
正直に言うと、パックロッドの「継ぎ目の感度の落ち」とか「節のガタつき」を気にする人もいると思います。おれも最初はそこが引っかかっていました。でも渓流の小場所でヤマメやイワナを相手にするぶんには、その差を感じる場面はほとんどない。むしろ、無理してワンピースを持っていって積載に神経をすり減らすより、パックロッドで気楽に振ったほうが釣りそのものを楽しめる。本気でセンシティブな釣りを突き詰める人にはワンピースが要るかもしれないけど、林道の奥で気ままに竿を出したいおれみたいな人間には、パックロッドはむしろ「正解」でした。まぁ、楽しけりゃいいよね、というやつです。
ロッドの固定で守りたいこと
経験から言うと、以下の点だけは外さないようにしています。どれも、過去に痛い目を見て学んだことばかりです。
- 固定点は2カ所以上: 1点固定は振動で動く
- 緩み止めはしっかり: 林道走行後は必ず確認
- 竿先を保護する: ティップはバイクパーツに当たると一発で折れる
- 転倒を想定する: 転倒しても最悪竿だけは助かるように
固定点を2カ所以上にするのは、1点だけだとそこを軸にして竿がくるくる回ったり、振り子のように揺れたりするからです。これがゴム固定で折ったときの失敗の正体でした。前後の2点で挟むように留めると、揺れる「逃げ場」がなくなって竿が落ち着く。たったこれだけのことで、走行中の暴れ方がまるで違います。
緩み止めの確認は、林道を走ったあとは必ずやります。出発時にどれだけきつく締めても、岩や木の根で揺すられると留め具は確実に緩む。釣り場に着いて竿を下ろすとき、「あ、ちょっと緩んでるな」と感じることは今でもあります。これを面倒くさがらないこと。止まったついでに一回触る、それだけで折る確率はぐっと下がります。
竿先の保護は、いくら言っても言い足りないくらい大事です。ティップ(穂先)は髪の毛みたいに細くて、バイクのフレームやキャリアの金属にコツンと当たっただけで白く割れる。走行中の振動なら、当たり続けて折れるのは時間の問題です。だからケースに入れるときも、必ずティップ側がどこにも触れない向きで収める。
転倒の想定は、林道を走る以上どうしても避けられません。おれは別に攻めた走りをするタイプじゃないんですが、それでも濡れた落ち葉や砂利で足を取られることはある。実際に林道で1度立ちゴケしたとき、ロッドケースに入れていたから竿は無事でした。ケースなしで積んでいたら折れていたと思います。転んだ瞬間に「あっ竿!」と血の気が引いたんですけど、起こしてケースを開けたら竿はピンピンしていて、心底ホッとした。あの安心感を一度味わうと、もうケースなしでは積めなくなります。
よくある質問
Q. ゴムひもでロッドを固定するのはなぜダメなのですか?
バイク走行中の振動が想像以上に強くて、ゴムひも固定だとロッドが動いてフレームやパーツに当たり続けます。おれは実際に走行中の振動でロッドを折ってしまいました。固定点は2カ所以上、緩み止めをしっかりすることが最低条件です。
Q. バイク用ロッドホルダーとロッドケース収納、どちらがおすすめですか?
林道メインなら断然ロッドケース収納です。ロッドホルダー直付けはオフロード走行で振動が大きいと緩んできます。セミハードのロッドケースに入れてシートバッグに固定する方法が、保護と利便性のバランスが良いです。
Q. パックロッドに変えるメリットはどのくらいありますか?
バイク釣行の利便性が圧倒的に変わります。振り出し式のパックロッドは収納時60〜80cmになってシートバッグの中に入るので、ロッドホルダー不要になります。性能は高級ワンピースロッドには敵いませんが、「持って行けること」が最優先のバイク釣行では正解です。
Q. 立ちゴケしたときロッドは守れますか?
セミハードロッドケースに入れていれば守れます。おれは林道で立ちゴケ1回経験していますが、ケースに入れていたので竿は無事でした。ケースなしで積んでいたら折れていたと思います。転倒を想定した固定と収納が大事です。
Q. ロッドのティップ(穂先)はどう保護すればいいですか?
ティップはバイクのパーツに当たると一発で折れます。ロッドケースに完全に収納するのが一番の対策です。もしケース外に固定する場合はティップカバーをつけて、竿先がフレームやキャリアに当たらない向きで固定してください。
バイク釣行の積載全般(荷物・ツーリングバッグ)はこちらにまとめています。
→ バイクで渓流釣りの積載術——荷物が道路に落ちてから本気で考えた
林道渓流ツーリングの装備全体はこちら。